2023年12月版のゲーミングマウス ティアーリストを公開します。市場に出回っているものはほぼ揃っていますが、一部無いものもあります。
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評価基準
ゲーミングマウスの評価項目は多岐にわたります。基本的には遅延や動作の安定性などの性能面に重きを置きつつ、総合的に評価しています。人それぞれ好みが分かれる部分(形状や本体重量など)については、評価に与える影響をやや少なめに設定しています。
前回からの改善点として、少し古いものや旧型にあたるものは除外することで、現行のゲーミングマウスをより細かくランク分けできるようにしました。その関係で、以前よりも下位のティアーに移動しているものが少なくありませんが、評価が下がったというよりは中間で区切られたというように認識してもらえると嬉しいです。
ファームウェア
一部のゲーミングマウスについてはクリック遅延の測定を行っています。これらの製品を検証するにあたり、現時点(2023/12/23時点)で最新のファームウェアを適用しています。
ゲーミングマウス ティアーリスト
各ティアーの製品について解説します。
God tier
Zaunkoenig M1K / M2K
つまみ持ち専用形状、カーボンファイバー採用、20グラム台前半のかなり尖ったゲーミングマウスです。M2Kは世界初のポーリングレート8000Hz対応機種です。かなり先進的なスペックなんですが、なんと発売されたのは数年前の話です。
イロモノかと思いきや、クリック遅延を測定すると現行のゲーミングマウスの中で最も遅延が少ないことが分かりました。
つい最近、M2Kのセンサーとケーブルだけ新しくなったM3Kという新作が出ましたが、価格は5万円越え。この特殊な形状や20グラム台の重量、異常なまでの性能の高さを考えても躊躇してしまいます。それでも欲しいという人は狙ってみても良いと思います。
Razer ポーリングレート8K対応シリーズ
初めに紹介したM1KとM2Kを除けば、最もクリック遅延が少ないのがRazerのポーリングレート8000Hz対応・光学スイッチ搭載機種です。クリック遅延は約0.25msと頭ひとつ抜けています。
Razer Viper V2 Pro
ミディアムサイズの全体的に平べったい左右対称ゲーミングマウスです。どこかZOWIE FK2っぽさがあって掴み持ちに適しています。最近流行りの本体後部の背が高いマウスと比べて背が低いので、好みは分かれそうです。
Razer DeathAdder V3 Pro
ラージサイズの左右非対称ゲーミングマウスです。Death Adderシリーズは初代からV2までと、V3とで形状が異なります。V3はそれ以前の形状よりも各部の凹凸が抑えられていて、グリップする深さや角度が調整しやすくなっています。
これらの2機種はシェル表面が滑りやすいことを除けば、とても良いゲーミングマウスです。遅延の少なさを重視していて、形や重さの好みが合うなら、これを選んでおけば間違いないです。
Razer Viper Mini Signature Edition
定期的に数量限定で販売されるマグネシウム合金製のゲーミングマウスです。日本では人気のあるViper Mini形状ですが、派手に肉抜きされているのでつかみ持ちでは持ちづらさを感じるかもしれません。少し人を選びます。
Logicool G PRO X SUPERLIGHT 2
目立った変更点が無いだとか、ポーリングレート2000Hzにしか対応していないだとか、発表時から色々と言われていたLogicoolの最新作です。クリック遅延を測ってみたところ、ポーリングレート2000Hzでクリック遅延がわずか0.4msと非常に少なく、大半の4000Hzのゲーミングマウスよりも高速という結果が出ました。ちゃんと性能は高いです。
2000Hzは4000HzよりもPCへの負荷が少なく、あらゆる環境で動作が安定しやすいです。PCスペックはあまり気にせずに高性能なゲーミングマウスを使いたいという人の有力候補になります。
前作のLogicool G PRO X SUPERLIGHTもまだまだ最前線で戦える機種ではあるので、特に不満が無いなら乗り換える意味は薄いと思います。
Finalmouse Ultralight X Lion
シェルの強度を捨ててまで軽量化されてますが、このサイズ感で実測値38グラムというのは驚異的な数値とは言えず、このマウスに対する評価は大きく分かれています。
しかしクリック遅延を測定すると4000Hzで約0.5msと優秀な結果を叩き出しており、非常に遅延が少ないゲーミングマウスの一種として数えられます。
WLmouse BEAST X
マグネシウム合金シェルを採用した FinalmouseのMediumと同じ形状で本体重量40グラムのゲーミングマウスです。軽さだけでなくシェルの剛性も重視したい場合、Ultralight X LionよりもBEAST Xの方が優れた選択肢になります。
G-Wolves 4Kシリーズ
G-Wolvesのポーリングレート4000Hz対応シリーズは共通して遅延が非常に少ないです。XLAT v1.1.0でのクリック遅延の実測値は約0.6msで、ここまでで紹介したゲーミングマウスに次いで高速です。
G-Wolves HTS+ 4K
おそらくG-Wolvesで最も人気のあるモデル。Logicool G PRO X SUPERLIGHTを少し小さくして、両サイドにわずかなくびれを形成したようなシェイプです。
最近流行している本体後部が盛り上がった形状(High humpと呼ばれるもの)は、手のひらや指の付け根を当てる場所が限られてしまいます。
一方で、HTS+ 4Kは本体の真ん中から後部にかけての背が高くなっているので、手のひらや指の付け根の支えとして使える範囲が広く、あらゆる持ち方に対応します。
G-Wolves HTX 4K
市場に出回っているマウスの中でもトップクラスに平べったくて小さいゲーミングマウスです。ZOWIE FK2をさらに一回り小さくしたZOWIE FK3といったイメージ。サイズが小さいと言われているゲーミングマウスでもまだ大きいと感じる、手が小さめの人にお勧めです。地味に本体重量わずか37グラムと最軽量クラスです。
G-Wolves HSK Plus 4K / HSK Pro 4K
指先で固定するために必要となる部分以外を削った、つまみ持ちに特化したゲーミングマウスです。HSK Pro 4Kはわずか29グラム、一回り大きいHSK Plus 4Kも41グラムの超軽量設計です。
M1KやM2Kのようなゲーミングマウスは入手性があまりに低く、価格もかなり高いので、この2機種から選ぶと良いのではないでしょうか。
このサイズでサイドボタンもホイールも搭載されているのは地味にすごい。
Sprime PM1
今年は多くのエルゴノミクスマウスがリリースされましたが、そのほとんどがZOWIE ECやRazer DeathAdder系の形状です。Sprime PM1は久々に出てきたLogicool G703ベースの形状をしていて、本体幅はそのまま、少し背を低く、全長を短くしたものです。
シェルの素材にカーボンファイバー複合材を採用することで本体重量わずか44グラムを実現しています。まだ8Kドングルは手元にないのでポーリングレート8000Hzや4000Hzは試せていませんが、1000Hzの時点でクリック遅延1.0msを計測しており、遅延が少ないマウスと言えます。
LAMZU Thorn
形状が優れています。基本的にはZOWIE ECに近いエルゴノミクス形状ですが、親指側の窪みが深いのでフィット感が強いです。また、DeathAdderやEC系は真ん中よりも奥側が最もくびれていて、親指が奥に追いやられてしまうのが難点でした。それに対してThornは真ん中辺りが最もくびれているので、親指の位置を浅めにもってくることができ、グリップする深さを調整しやすいのが強みです。
光学式スイッチを搭載しており、最も遅延が少なくなるデバウンスタイム0ms設定で使用しても動作が安定します。
Pulsar X2H / Pulsar X2H Mini
XM1やAtlantisよりもさらに本体後部が膨らんだ、唯一無二の形状をしています。特に手のひらで支える深めのつかみ持ちでは、手のひらの付け根あたりが圧迫されるのが他のマウスにない特長となります。浅めのつかみ持ちも、本体後部に高さがあるため、指の付け根を無理に押し当てる必要が無く、安定感が出ます。
VAXEE Wireless series
VAXEEのゲーミングマウスも低遅延かつ全体的にクオリティが高いです。とある取材でポーリングレート4000Hzに対応する予定もあると明かされており、性能向上にも期待できます。
VAXEEは過度な軽量化をしない姿勢を貫いているメーカーで、程よく重量のあるマウスを好む人の貴重な選択肢となっています。
ZYGEN NP-01S Wireless
左右対称ゲーミングマウスを使っていた人が初めてエルゴノミクスマウスに挑戦したい場合の選択肢として、このNP-01Sを超える形状は今後出てこないかもしれないです。ZOWIE S2がベースに、両サイドによくあるエルゴノミクスマウスと似たようなカーブをつけた形状は、深めのつかみ持ちで抜群のフィット感が得られます。かなり細身なのも特長で、指先で直感的に操作しているような感覚が得られます。
VAXEE XE Wireless
左右対称マウスはやや小さめのものが主流になっており、XE Wirelessのような幅が広くてどっしりとしたミディアムサイズのゲーミングマウスは珍しいように思います。
両サイドはわずかにくびれていますが、逆ハの字になってはなっていません。ほぼ水平です。
本体後部のコブが丸みを帯びておらず、後方から見ると台形のようになっています。左右両端まで高さが残っているため、ここに指の付け根を当てるような持ち方が他のマウスよりもやりやすいです。
OUTSET AX Wireless
後ろ側が途中で切られているような感じで、後端の背が高いのが特長です。ZOWIE ECやDeathAdderのようにシェルが手首の付け根まで潜り込んでこないので、持ち方によっては他の左右非対称マウスよりもかなり快適です。深めのつかみ持ちやかぶせ持ち リバース持ちと呼ばれる持ち方との相性が良いです。
S tier
優れた形状のゲーミングマウスを数多く選出しています。 Endgame Gear OP1we や LAMZU Maya は既存のマウスに似ているという噂もありましたが、実際には全く新しい形状の左右対称ゲーミングマウスでした。ゲーミングマウスを選ぶうえで形状を重視するという人は一度試してみる価値があると思います。WAIZOWL OGM Pro もハーフエルゴと呼ばれる面白い形をしていて、エルゴノミクスマウスながら後方から見たときの傾きがごくわずかで、左右対称マウスのような角度でグリップできるのが特長です。
VGN Dragonfly F1 Pro Max , Fantech Helios II Pro , Ninjutso Sora 4K , Pulsar X2V2 は、ポーリングレート4000Hz対応機種の中でも費用対効果に優れた選択肢となります。
A tier
B tier
C tier
Unranked
さいごに
今回はゲーミングマウスのティアーリストを紹介しました。God tierに選んだ機種はトップクラスに遅延が少なく、動作の安定性にも優れています。
ゲーミングマウスは形状や重たさなど、その人の好み次第で評価が分かれる部分が多いですが、この1年でかなり選択肢が増え、条件に合ったものが見つかりやすくなっています。あまり気に入らない部分を妥協する必要が無くなってきているということです。
2024年には、さまざまな機材を使って現在よりも詳しい検証を行ったうえで、それらの複雑な情報を分かりやすい言葉でまとめたようなコンテンツを出していきたいと考えています。
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